新たに事業を開始した

Q1. いきなり自営業になった。どうすればいい?

Q2. 会社を設立したけど、どこに何を届ければいい?

Q3. 従業員を雇う場合の注意点は?

Q1. いきなり自営業になった。どうすればいい?

A1. 夢の独立開業を果たし個人事業主に。今まで従業員として給与をもらっていたが、今月から「外注」扱いになり、気が付けば自分も個人事業主に。
自営業、つまり個人事業主になると、自由度は高いですが全てにおいて自己責任。
最低限必要な手続きは理解しておきましょう。

 ■届け出書類関係
個人事業は法人設立と違い、設立の登記なども必要ありませんが、まず初めに必要な手続きは、税務署への届け出です。

開業したら【2か月以内に】次の2つの書類は必ず提出しよう
◎個人事業の開業届出書
 ⇒開業すると必ず提出する書類
◎所得税の青色申告承認申請書
 ⇒「青色申告」という、税金の計算が有利になる制度を受けるための書類

特に「青色申告」は、期限が過ぎるとその年は適用が受けられなくなります。

確定申告の時期になって、これらの届け出を行っていないままの方の相談が毎年多く寄せられます。簡単な書類ですので、めんどくさがらずに取り組みましょう。

その他、従業員に給与を支払う場合、家族に給与を支払う場合(「青色事業専従者給与」といいます)などにも、必要な届け出書類があります。

国税庁のHPにも、届け出書類をまとめたページがあるので、確認してみましょう。
国税庁HP「新たに事業を始めたときの届出など」

Q2. 会社を設立したけど、どこに何を届ければいい?

A2. 会社を設立した場合にも、個人事業と同様に様々な届け出書類がでてきます。

従業員を数人雇用し、資本金が1000万円未満の一般的な事例では、概ね次の手続きが必要なります。
提出先がたくさんあり途方に暮れそうですが、事務的な内容ばかりですし、それぞれの団体のHPで様式や記載例も整備されています。
専門家に依頼する方法ももちろんありますが、無理のない範囲で事前に書類をそろえ、各窓口に足を運べば、多くの場合スムーズに完了するはずです。

■税務署に提出するもの
◎法人設立届出書(設立後2か月以内)
◎青色申告の承認申請書(設立後3か月以内又は最初の決算日まで)
◎給与支払事務所等の開設届出書
◎源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

※青色申告の書類が遅れると不利益が出てくる場合が多いため、必ず設立後速やかに手続きを進めましょう。

■都道府県税事務所・市区町村への届け出
◎法人設立届出書

■日本年金機構への届け出
◎健康保険・厚生年金保険 新規適用届
◎新規適用事業所現況書
◎被保険者資格取得届・被扶養者届

※会社の場合、社会保険は強制加入となります。社長1人でも加入が必要となりますので注意が必要です。

■労働基準監督署への届け出
◎労働保険保険関係成立届
◎概算保険料申告書

※従業員(他人)を1人でも雇う場合に、労働保険の加入が必要です。

■ハローワークへの届け出
◎雇用保険適用事業所設置届
◎雇用保険被保険者資格取得届

※雇用保険も労働保険の一部なのですが、ハローワークに別途届け出が必要です。

Q3. 従業員を雇う場合の注意点は?

A3. 会社経営をめぐるトラブルや悩みの種で最も多いものの一つが人事関係だと思います。
他人を1人でも雇用する際に初めに注意しておきたいポイントをまとめました。

■人件費
額面の給与額とは別に、社会保険料の会社負担分(額面のおよそ15%)や今後の昇給なども見越せば、当初の額面の2~3割増しのコストがかかるものと想定して収支の計画を立てる必要があります。

■就業規則
常時10人以上の雇用がある場合に作成が義務となりますが、トラブルや損害の予防のため、できるだけ早い段階で整備していくべきです。
従業員が少ないうちは届け出も必要ないため、経営の実態に合わせて適宜バージョンアップさせ、時間をかけて作り上げていくとよいでしょう。

■雇用契約
こちらもトラブル予防ですが、小さい会社であっても、就業条件を明記した雇用契約書を作成し、従業員にも押印してもらう必要があります。
採用時の履歴書なども必ず保管しておきましょう。

■賃金台帳などの整備
労働者名簿や賃金台帳、出勤簿なども整備・保管しておきます。これらは役所からの確認が入る可能性もあります。

■労働保険・社会保険の加入
法人の場合強制加入になりますので、割り切って加入手続きを行いましょう。

■助成金等の確認
従業員を雇用すると、ケースによっては助成金や税制優遇の対象になることがあります。
該当するものがないか、事前に種類や要件をチェックしておくと良いでしょう。

■長く働いてもらえることが一番重要
近年は人手不足で採用が難しいばかりでなく、一度雇ってもすぐに退職するといった悩みを多く聞きます。
トラブルになるのもやはり退職前後が中心です。
従業員がやりがいを感じながら長く働ける職場を作ることが、会社にとっても一番大事なことだと思います。

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