中古資産の耐用年数の設定方法【3つの方法から選択可能?】

節税のために中古車を買った場合や、不動産投資で中古物件を買った場合などに気になるのが、「耐用年数」の算定です。
その年の減価償却費(経費)にできる金額に大きく影響してきますので、詳しく見ていきたいと思います。

一般的に使われるのは「簡便法」

中古資産の耐用年数を算定するときに、一番使われる方法が「簡便法」です。
これは、資産を取得した時点の経過年数に応じて、次のような計算式で耐用年数を計算する方法です。

(1) 法定耐用年数-経過年数=A
(2) 経過年数×20%=B
(3) A+B=耐用年数

※実際の計算は「月単位」で行います。
※算出された耐用年数に1年未満の端数があれば切り捨てます。
※最低年数は「2年」です。
※法定耐用年数<経過年数となっている場合は、「法定耐用年数×20%」で計算します。

◆具体例で計算してみます。

⇒新車から3年10か月経過した中古車を購入した場合(法定耐用年数6年)

(1) 72月-46月=26月
(2) 46月×20%=9.2月
(3) 26月+9.2月=35.2月⇒2年と11.2月⇒1年未満切り捨てで「2年」

これが、3年9か月経過の車なら、上記計算結果が「3年」になってしまいます。
月単位で細かく計算する必要があるため、注意しましょう。

車の場合、3年10か月以上(約4年)経過しているものなら、耐用年数2年を適用できることになります。
「節税のためには4年落ちのベンツを買え!!」などという根拠です。

「法定耐用年数」でも「別の方法で見積もり」でもOK

場合によっては、「2年では短すぎる!」と思う方もいると思います。

実は、一般的に使われている「簡便法」は、その名の通り「簡便法」なので、原則的な方法ではありません。

そもそも減価償却費の計算においては、資産の種類ごとに「法定耐用年数」が定められていて、これは新品も中古も関係ありません。

しかしそれでは中古資産の実態が反映されない、ということで、次のような取り扱いになっています。

【中古資産の耐用年数】
(1)原則  法定耐用年数
(2)例外① 以後の使用可能期間として合理的に見積もられる年数を使える。
(3)例外② ①の見積りが困難な場合「簡便法」で計算できる。

すなわち、実質的にはこれら3つの方法を選択できるけど、多くの場合「例外②」を選択している、という状況になっています。

中古資産の耐用年数:対応法まとめ

◆法人であれば「簡便法」一択でOK
耐用年数を一番短く計算できるのは基本的に「簡便法」です。

法人の場合、各年度の減価償却費は、限度額の範囲内であればいくらでも自由に調整することができます。
場合によってはその年度の減価償却費をゼロとし、翌年度以降に繰り越すことも可能です。

なので、耐用年数を長く設定するメリットは何もないため、「簡便法」で計算すれば問題ありません。

◆個人で所得が減り過ぎるような場合は要検討
個人事業の場合、減価償却費は「強制計上」となります。
法人と違って、所得がマイナスになりそうだから、減価償却費は翌年以降に取っておこう、ということができません。

所得が減り過ぎると、せっかくの青色申告特別控除や所得控除といった控除額を捨ててしまう結果となり、節税対策上とてももったいない結果となりかねません。

できることなら数年にわたって所得を平均できるように設定したいものです。

そのようなときは、以後の事業収支計画を作成するなどして、その中古資産の使用可能期間を実態にあわせて見積もり設定するという方法も有効です。

◆「簡便法」より短い年数は見積もらないこと
いくら変な理屈を考えたとしても、「簡便法」より短い年数になると、合理的な見積りと認められるハードルはとても高いと思いますのでやめておきましょう。

◆耐用年数は一度決めると変えられない
耐用年数は、その資産を取得した年度に必ず設定しておきましょう。
特に見積り法や簡便法を使う場合、取得年度(厳密には事業に供用した年度)に必ず決定する必要があります。

何も処理せずに放置していると、「法定耐用年数」として計算された額しか認められなくなるリスクがあります。

また、一度設定された耐用年数は、以後の年度で変更することは基本的にできないため注意しましょう。

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