Kindle電子書籍やAmazonプライム年会費の消費税・仕入税額控除は?

Kindleで購入した電子書籍、DropboxやADOBEなどの使用料・・・消費税の処理はどうだったかな、と悩むことはありませんか?

アマゾンやグーグルといった海外事業者からのサービスについて、消費税はかかるのか?仕入税額控除はできるのか?

という点については、実は複雑な取り扱いがあります。

国内取引かどうか

そもそも消費税は、その取引が「国内」で行われた場合に課税対象になります。

そこで、キンドルのような、アマゾンが海外からネットを介して配信するサービスなどについては、それが国内取引かどうかが問題になります。

これらを、税法の基準で言うと「電気通信利用役務の提供」といい、この判定基準について、平成27年(2015年)10月1日から改正されています。

【以前】
役務の提供を行う者の役務の提供に係る所在地

【改正後】
役務の提供を受ける者の住所等

この改正により、海外事業者からのwebサービスは、
以前は課税対象外でしたが、我々が国内で提供を受ける場合、消費税の課税対象となりました。

「電気通信利用役務の提供」とは、次のようなものが対象になります。
・ネットを通じて行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェアの配信
・クラウドサービス
・クラウドストレージ
・ネット広告、ショッピングサイトや予約サイトの掲載料
・ネット英会話教室

消費者向けか事業者向けか

この「電気通信利用役務の提供」の消費税の取り扱いについては、さらに「消費者向け」か「事業者向け」に分かれます。

これは少し分かりにくいですが、
Kindleは消費者向け、アマゾンプライムも消費者向け。
FACEBOOK広告は事業者向け、
というように、サービスごとにあらかじめ決められています。

Kindle電子書籍を購入したのがたとえ会社で事業用であっても、「消費者向け」サービスとして取り扱います。
電子書籍や音楽・映像の配信やクラウドサービスで、ネット上で誰でも一般に購入できるものは、ほとんど「消費者向け」になっています。

「登録国外事業者」からのみ仕入税額控除ができる

Kindleなどが消費税の課税対象であることは確認できましたが、話はこれで終わりません。

「消費者向け電気通信利用役務の提供」について、

経過措置により当分の間、
原則、仕入税額控除が認められません。
例外、「登録国外事業者」からのサービスの場合、仕入税額控除の対象となります。

この「登録国外事業者」は、国税庁のHPで最新情報を確認することができます。

登録国外事業者名簿

・キンドルの電子書籍やアマゾンプライム会費は、アマゾンがこの「登録国外事業者」になっているため、晴れて仕入税額控除が可能となります。
(DropboxやADOBEも登録されています。)

また、「登録国外事業者」に登録されている場合、請求書やサイト内などで、登録番号などが表示されますので、確認してみましょう。

仕訳を入力する際にも、課税仕入れとして入力すればOKです。

一方、「登録国外事業者」に登録されていない場合、仕入税額控除はできません。
消費税自体はかかっているというのに納得はいきませんが、仕訳の入力の際は「消費税対象外」とするなどの手当てが必要です。
※厳密な処理方法ではありませんが、中小事業者で簡便性を重視すれば、「対象外」で良いと思われます。

※「事業者向け」の場合(参考)
「事業者向け」に該当する場合、取引の際にその旨明示されることになっています。
複雑になるのでここでは簡単に記載しておきます。

・課税売上割合が95%以上又は簡易課税の場合
 消費税はなかったものとして処理します。
 会計ソフトの入力も「不課税」「対象外」でOKです。

・課税売上割合が95%未満の場合
 「リバースチャージ方式」の対象となり、提供を受けた者が申告・納税を行います。

【まとめ】
まとめると、海外事業者からのwebサービスを受けた場合、
経理処理・仕訳の観点では、次の通りとなります。

・「登録国外事業者」からのサービスに限って課税仕入れと認識する。
・それ以外は、消費税対象外として扱う。
・「事業者向け」の明示があり、課税売上割合が95%未満の場合のみ、「リバースチャージ方式」

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