法人税の実効税率引下げ~無秩序に改正を繰り返す税制

法人税等の実効税率引き下げが現実味を帯びてきました。

 

現在の法人実効税率約36%から20%台へ、3~5年程度かけて引き下げていく案が有力視されています。

 

減税に伴う税収の減少は3兆円と見積もられ、これを穴埋めする「代替財源」の議論も活発化しています。

 

代替財源の候補

現在上がっている代替財源の主な候補は次のとおり。

 

・減価償却制度の見直し

 →償却方法の計算について「定率法」を廃止し「定額法」に一本化する。

 

・中小法人の軽減税率等の縮小

 →現在、資本金1億円以下の法人などで、法人税率の軽減措置等があるが、これの適用範囲の縮小を検討。

 

・欠損金の繰越控除の縮小

 →赤字の繰り越し可能期間「9年」を短縮。

  現在、大企業のみ、一度に控除できるのは所得の8割という制限があるが、この制限を拡大。

 

・その他、受取配当の益金不算入の縮小や外形標準課税の対象拡大など

 

頻繁に改正される税制

今回に限ったことではありませんが、税金のしくみはかなり頻繁に、しかも大幅な改正が繰り返されています。

 

減価償却制度にしても、

平成19年に定率法の償却率が大幅に上がり(いわゆる250%定率法)、平成24年には逆に縮小(いわゆる200%定率法)、そして今回、定率法の廃止が検討されるという、極めて無秩序な状況になっています。

 

もちろん改正前後を比較すると公平ではありません。

単純な話でいうと、税率が30%から20%に下がると、同じ100万円の利益を出したとしても、税負担は30万円から20万円に変わります。

 

今年出るはずの利益を、合法的に、翌年以降に繰り延べることができると、それだけで手元に10万円多くキャッシュを残せることになります。

 

こういった選択・対策を、経営に支障をきたさない無理ない範囲で提案すること。これも税理士として重要な役割だと考えています。

 

それでも、注意したいのは、税金対策が経営判断を曇らせることは絶対に避けなければいけないということです。

 

実例としては、節税対策が事業の成功をもたらすケースよりも、節税のやり過ぎで会社の体力を失い、経営危機が訪れるケースの方が多いでしょう。

 

そういう意識を持って税務のアドバイスを行っています。

 

法人の実効税率

法人の実効税率については、近年大きく変化してきています。

 

平成24年3月以前     約41%(26.5%)

平成24年4月~26年3月 約38%(24.5%)

平成26年4月~      約36%(23%)

 

資本金1億円以下の中小法人などで、所得800万円以下の部分については、軽減税率が適用されており、その税率は上記のカッコ書き内の数字です。

 

中小法人では、年800万円という上限はありますが、実効税率約23%という、相当低い水準まで下がってきています。

超えた部分については約36%となるため、この800万円ラインが税務対策のポイントになったりします。

 

この軽減税率も含めて、中小企業に対する優遇措置の縮小については、メインテーマである実効税率の引き下げとあわせて要注意です。

 

まずは、6月に発表される「骨太方針」にどこまで盛り込まれるかです。

税制の動向については引き続きチェックしていきたいと思います。