日本の「起業希望者」が、バブル期と比べて半減しているようです。
先行き不透明なこの時代に起業することは、成功確率の低い、割に合わない選択なのでしょうか?
税理士として直接「起業」する方に接する機会の多い立場から言うならば、将来不透明だからこそ「起業」を選択肢として考えるべきです。
経済産業省の調査によると、1987年の「起業希望者」が178万人であったのに対し、2012年では84万人にとどまっています。
「起業」というと、極端な話、スティーブ・ジョブズやグーグル、フェイスブックなど、天才的な才能が必要と思われがちです。
もちろん起業家の中からそういった世界を変えるビジネスが生まれることもありますが、大部分は小規模のビジネスでしょう。
起業してもビジネスを大きくしないといけない理由はありません。
小規模でも自分の能力を活かし、充実した生活を送っている人も数多くいます。
人生の大勝負!なんて思う必要はないのです。
ここまでITの発達した時代ですから、自分の今までのスキルを活かして、小資本で小さく始めれば、リスクは十分コントロールできます。
今の時代、会社に人生をゆだねた人と、自分で稼げる能力を身につけた市場価値の高い起業家の、どちらが生き残れる可能性が高いかと言われれば、後者でしょう。
サラリーマンであっても、人生の選択肢として、独立や起業を意識しておく価値は十分にあると思います。
仕事の中で身についたスキルを使ってどんなことができそうか?
また、独立を考えた場合、仕事上どういったスキルを身につけていくべきか?
私もサラリーマン時代はそういう意識で働いていました。
結果として、仕事のパフォーマンスも上がったように思います。
起業すると、失敗したときのリスクが致命的。とも言われます。
もちろん相当なダメージは受けるでしょうが、「起業して失敗した経験」も、本人の大きな財産になる場合もあります。
すでに「35歳転職限界説」も崩壊しつつあります。
スキルや経験値の高い即戦力人材であれば、たとえ起業に失敗しても、受け入れてくれる会社は山ほどあるでしょう。以前より数段復活しやすい環境になってきていますし、この流れは今後も進むでしょう。
アベノミクスの成長戦略でも、起業しやすい環境整備は大きなテーマとして挙げられています。
「起業」が身近な働き方の選択肢にあがるように、私も税理士としてささやかでも力になっていきたいなと思います。
大手企業やチェーン店に席巻されていく社会って、やっぱり味気なく感じます。
個性のあるスモールビジネスが食い込んでいく世の中のほうが、活気があって楽しいです。
そんな中から、世界を変えるイノベーションも、偶然、生まれるものだと思います。