8割の人が間違える「軽油」・消費税の仕訳-間違えた場合のリスクと対処方法

経費として何気なく入力しているガソリン代や軽油代。

事業に使用しているものならもちろん経費になりますが、実は消費税の取り扱いで落とし穴があります。

ガソリンと軽油では、税金がかなり異なる

これはご存知の方も多いと思いますが、ガソリンには「ガソリン税」、軽油には「軽油引取税」という税金が上乗せされています。

ガソリン税は、1ℓあたり53.8円
軽油引取税は、1ℓあたり32.1円

税金だけで軽油の方が20円以上も安く、これが「軽油はガソリンより安い」ことの大きな原因になっています。
(実は本体価格にほとんど差はないのですね。。。)

と、話はこれで終わりではなく、消費税の取り扱いが問題になってきます。

ガソリン税には消費税かかるが、軽油引取税には消費税かからない

ガソリン税は、本体価格に合算されて、消費税が課税されます。
二重課税じゃないか、という批判も多いのですが、現状はそうなっています。

以下、本体価格が同じ80円と仮定した場合の、ガソリンと軽油の税金計算の比較です。

【ガソリンの場合】
(本体価格80円+ガソリン税53.8円)×10%=消費税額13.4円
 ⇒税込み合計金額:147.2円

【軽油の場合】
本体価格80円×10%=消費税額8.0円
+別途、軽油引取税32.1円

 ⇒税込み合計金額:120.1円

なんと、税込価格で27.1円の差がつくことになります。
こうして改めて計算すると、ガソリンも軽油も、税金の割合が本当に大きいですね。。。

実はガソリン税と軽油引取税の他にも、石油税と呼ばれるものが本体価格の中に1ℓあたり2.8円含まれています。
それも含めると、上記の税込価格の内ガソリンで約47%、軽油で約36%が税金です。

会計ソフト入力時に注意

軽油レシート

このようなレシートを入力する際、
普通に下記仕訳イメージの上段のように合計額を1本の仕訳で入力すると、全体に対して消費税が計算されるため、消費税額586円となり、レシートの税額447円と一致しません。

正しくは、下段の仕訳のように、本体部分と軽油引取税部分とに分けて仕訳を入れる必要があります。
※レシートの消費税額447円と会計ソフトが一致しています。

軽油引取税の勘定科目については、もちろん租税公課としても良いのですが、これも含めて軽油代という認識が強く、経費の分析という点からも、本体価格と同じ科目(旅費交通費など)にしておいた方がよいでしょう。

間違った場合の影響は?

実際には、上段の間違った仕訳のまま決算を行っているケースも多くみられます。

この場合の影響としては、正誤の消費税額の差異⇒この例では586-447=139円分、納める消費税が少なく計算されることになります。

1ℓあたりになおすと、約2.9円の消費税過少申告になります。

年間の軽油使用量別の過少税額は次の通りになります。

1000ℓ(約12万円)⇒2,900円
5000ℓ(約60万円)⇒14,500円
10000ℓ(約120万円)⇒29,000円

実際に税務調査で指摘されるかどうかは、業種や使用量によるでしょう。
実際には全く指摘されなかったケースもありますし、注意のみで終わるケースもあるでしょう。

一つひとつ仕訳を分けて入力するのは、確かに非効率です。

対策としては、決算時に年間の軽油にかかった金額を集計し、軽油引取税に相当する金額を一括して概算数値で「不課税」に振替える、という方法が考えられます。

もちろん100%正しい処理とは言えませんが、これで税務調査の際に修正を求められるリスクも大きく軽減できるでしょう。

※ガソリンの場合は、ガソリン税も含めて全額が消費税課税対象なので、税込み合計金額1本で仕訳入力して全く問題ありません。

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