「休眠会社」に住民税「均等割」は、かかりません。~休眠会社の税金と手続きのポイント

「休眠会社」という言葉があります。

 

本稿では便宜上、法人として正式には存続しているものの、全く事業活動を行っていない、休業中の会社という定義でお話しします。

そんな「休眠会社」について、法人住民税の「均等割」が課されるか、という論争があります。

 

今回はそのような論争に終止符を打ってみたいと思います。

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「休眠会社」とは?

そもそもなぜ「休眠会社」が存在するのでしょう。

会社を解散・清算するためには、それなりの費用や手間がかかります。

また、将来事業を再開する可能性があるのなら、一旦解散後、再度会社設立などとなると、あまりにも煩雑です。

 

外部の第三者との債権・債務が残っていない状況で、お店をたたんだり、休業したりする場合、正式に清算手続きをする必要性を感じにくいという面もあるでしょう。

 

そのため、株主や利害関係者が親族のみの会社などでは、正式に解散・清算の手続きを取らず、放置してしまうことも多いです。

 

このように放置されている会社のことを「休眠会社」と呼びます。

住民税の「均等割」(重要)

それでは問題の法人住民税「均等割」です。

住民税については、各自治体により実務運用が異なることもあり、ケースバイケースとよく言われます。

 

全額又は半額を「免除」してくれる自治体もあれば、毎年課税されるという自治体もあるなどの声を聞くことがあります。

 

ただ、「均等割」も税金なので、もちろん大元は「地方税法」という法律に基づいて課税が行われるため、何らかの統一解釈は可能なはずです。

 

法人住民税が課税されるための、法的な要件はこう定められています。

「道府県内または市町村内に事務所又は事業所を有する法人」

 

ここでいう事務所又は事業所とは、

「…事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所」をいいます。

 

「休眠会社」が完全に事業活動を停止していて、事務所なども引き払ってお金の動きも全くないような状態ならどうでしょう?

 

この「事務所等」の要件に該当せず、均等割も含めた法人住民税の納税義務は無いという解釈になります。

 

●堂々と主張しよう

以前私も、東京での勤務時代のことですが、税務署等に休眠関係の届け出を出しているにも関わらず、均等割を払い続けていた会社を見ました。

 

こちらから主張しない限り、課税され続ける自治体は確かにあると思います。

 

法人が法人として存続しているだけで、均等割はかかる。という規定はありません。

 

完全に休眠中であれば、「事務所等」の要件に該当しない旨主張してみましょう。

それを聞いても課税しようとする自治体は、まずないでしょう。

 

このようにして、均等割が課された事例はありません。

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休眠・休業するときの手続き

【税務署あて】

 ●異動届出書

  法人の代表者や事業年度など、一般的な事項の変更を届出する際の用紙です。

  これに、

  「異動事項」=その他、休眠など

  「異動後」=〇年〇月〇日より休眠

  などと記載します。

 ●給与支払事務所等の廃止届出書

  「休業」欄にチェック 「参考事項」=〇年〇月〇日より休眠

 

【道府県税事務所、市町村あて】

 手続きは地域により異なりますので、必ず管轄の道府県税事務所と市町村にそれぞれ確認しましょう。

 大阪府・大阪市の場合は、通常の異動届に、「〇年〇月〇日より休眠」と記載して提出するのみです。添付書類等も必要ありません。

★この手続きにより均等割が課されなくなります。必ず忘れないようにしましょう!

 

「休眠会社」の決算・申告義務は?

●法人税申告のみ必要

 本人税については、法人が存続している限り申告義務があるため、税務署への確定申告書提出は必要です。

 青色申告などを継続したい場合は、毎年期限内に提出しておきましょう。事業活動を行っていないため、作成に手間はあまりかかりません。税理士に依頼している場合でも、報酬はかなり安くしてくれると思います。自力での作成も十分可能だと思います。

 

 ※事業活動がないため数字はゼロで、税金も発生しないため、実際には申告等を行わなくても実害は少ないです。(青色申告は取り消されますが)

 

●消費税、都道府県、市町村への申告書の提出は不要です。

 消費税は、課税取引がない場合は申告義務がありません。課税事業者に該当しなくなった旨の届け出は提出しておきましょう。

 住民税は、事業を行う事務所を廃止したという理由で、申告義務がなくなります。

 

※休眠に関する個別のご質問などについては、お答えできません。何卒ご了承いただければと思います。

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