海外出張・海外旅行はどこまで経費に算入できますか?~個人事業主編~

商談や取引契約、買付けなどのために海外へ出張した場合、その渡航費用は経費になるはずですよね。

せっかくだからついでにちょっと観光も・・・。
観光するなら家族も連れて・・・。

この場合、どこまでが経費と認められるか気になるところです。
ポイントは、その海外渡航の目的が、その事業の遂行上直接必要であるかどうか、です。

直接必要かどうかの判定は?

その旅行目的、旅行先、旅行の経路、期間等を総合して実質的に判断されます。

旅行会社が販売している観光目的のパッケージツアーなどを利用した場合は、原則認められないとされていますが、事業遂行上、直接必要だと認められる場合には、必要経費算入の余地はあります。

ただし、フリータイムに少し仕事をしたと言っても、当然認めてもらえません。

どちらにしても、きちんと業務に必要な旅であることを説明できるようにしておく必要がありますね。

基本的には商用と観光に費やした日数比で按分する

例えば、5日のうち商用3日、観光2日とした場合、原則は商用5分の3、観光5分の2とします。

そしてかかった費用全体の商用部分(5分の3)のみを、必要経費に算入します。

ただし、「ついでに観光」ということであれば、往復の旅費(飛行機代金と現地での先方訪問のための交通費)は全額費用として認められるため、按分する必要はありません。

宿泊費や滞在中の経費について、按分すれば良いということになります。

もちろん、日数按分ではなく、各費用について個別に事業用とプライベートに分けることができれば、なお良しです。

ポイントは、旅行中のスケジュールを記録しておいて、按分の根拠を示せるようにしておくことです。

そして、必要経費と認められない部分については、事業主については家事費となりますので、仕訳する際に、事業主勘定で処理しておきましょう。

一緒に行った使用人や親族の旅費は?

◆使用人
⇒事業主と同じく、事業に必要な部分は必要経費になります。
また、業務として認められない観光などの費用も事業主が負担した場合は、その使用人の給与として取り扱います。

◆事業専従者
⇒事業主と同じく、事業に必要な部分は必要経費になります。
そして、業務として認められない観光などの費用については、青色事業専従者給与として認められるかどうかが問題になります。

届出書に記載されている月額の範囲内か、また労務の対価として適正か、というように、他の従業員への給与以上に要件が厳しいため、通常は旅行費用などには適用できないでしょう。

◆事業専従者でない家族
⇒以下のような場合であれば、必要経費にできる余地があります。
・補佐人として同伴する場合(事業主が常時補佐を必要とする身体障害者であるため)
・配偶者を同伴する必要がある場合(国際会議への出席等のため)
・外国語の通訳が必要な場合(使用人のうちに適任者がいないため)

普段は業務にかかわっていない家族ですから、経費に算入できる要件は厳しいと考えるべきです。
よって、これらのように特別に同伴が必要であったという事情が示せる必要があります。

このように、仕事に必要な部分があれば、家族連れの海外出張でも経費にできる可能性はあります。
少し手間はかかりますが、あきらめずに確認してみましょう。

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